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2015.07.01

【小説】腕を造る腕(シド・ナン・ガーロンド)

Ff1415062715

仲間は墜とされ、不穏を孕んだ風はシドにも忍び寄る・・・

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シドは、隠れ家にやって来た。

それは聖コイナク財団の調査地の片隅にあった。クリスタルタワーの監視は今も続けられている。シドは協力者であるから、このあたりを歩いていても誰も見咎める者はいない。隠れ家は見た目はありふれた掘っ立て小屋だが、内部にはシールドが施され、外部からの干渉も内部からの影響も遮蔽出来る。簡易ベッドと机と椅子、そして機械類。簡素にして質素ながら、シドにはどんな豪奢な部屋よりも居心地の良い場所であった。

シドの元には、各方面からあらゆる依頼がやって来る。魔導技術の最高峰はいまだにシドなのだ。彼自身は一番であろうとしているのではない。新しい技術を追い求めて進んで来ただけなのだ。しかし「ガーロンド・アイアンワークス」が大きくなった今、気の進まない案件も引き受けねばならない時もある。会社の為だと解っていても、気分が引き立たず、アイデアも出なくなる。

そんな時は、ここに来る。

ささやかな設備で、両の手のみで出来る物を作る。子供時代に夢中で作った機械達の延長にあるようなもの。特に今は、そんな気晴らしが必要だった。シドは痛みを抱えていた。シド自身は罪に問われる事はなかったが、濡れ衣を着せられた昔馴染みや共に戦った仲間達の安否が、シドの心に重く圧し掛かっていた。

小屋に入ると、簡易ベッドに寝そべる男の姿があった。
「よぉ、ガーロンド・・」
ネロであった。目が合った。ネロは何かを面白がるような顔をしてみせた。シドは無視して椅子に腰を下ろした。机の上には、作り掛けの機械と部品が散らばっている。
「良くここがわかったな。社の連中にも教えていないのに」
「オレを、誰だと思ってるンだよ」
シドの口元に笑みが浮かんだ。かつては机を並べ、そして敵対し、今はまたここにいる二人。

「妙なモン、こさえてるじゃねぇか」
シドの目の前にあるのは、銀色の複雑なパーツで形作られた機械仕掛けの腕である。まだ完成には程遠い。ネロは起き上がると、シドを目掛けて何かを投げつけた。それはシドの背中に当たって床に落ちた。丸めた紙であった。シドは拾い上げて広げて見た。走り書きの設計図であった。
「これは・・」
「何でもオマエが一番、てぇわけじゃねぇんだよ」
シドが苦労していた可動部分が見事に改良されている。
「オレの鎧の、まぁ・・応用みてェなモンだ。それなりのパワーは出るぜ」

この義手が誰のための物なのか、ネロは見抜いていた。

「すまない」
「安心しな・・この程度で借りをチャラにしようなんンて、思ってねぇよ」
ネロが立ち上がった。
「ついでに、もうチョッとだけ、借りを返しておくわ」

Ff1415062717

ネロの声が低くなった。
「帝国以外の魔導技術者が、次々に消されてる」
ふざけた口調も斜に構えた態度も消え失せていた。
「お前も気をつけろ」
シドは驚いてネロを見た。
「新しい皇帝を甘く見るな」
帝国は魔導技術を再び独占しようしているのか。

シドの顔色が変わったのを見ると、ネロはにやりと笑った。
「オレはなァ・・アイツとの約束を果たすまでは、くたばるつもりはねぇよ」
過去から託された遠い約束、この地にそびえ立つ塔の中でまどろむ未来への希望。
「オマエもくたばンじゃねぇぜ・・このオレが、伝説のシド・ナン・ガーロンドより凄いモン作るのを、見届けるまでな」

それだけ言うと、ネロは出て行った。

塔の扉が閉ざされて以来、姿を消していたネロがここに来たのは、警告のためだったのだ。魔導技術は使い方次第で善にも悪にもなる。それはシドの父親が身を持って示した。その二の舞だけはするまいと、シドは堅く誓っている。だが技術そのものの消失を願った事はない。この世界を深く豊かにするための技術は、あってしかるべきなのだ。

シドは自分の手を見た。

やがて俺を越える者が現れるだろう。だが今は、俺の技術が、仲間や人々の役に立つなら、帝国の脅威をエオルゼアから退ける力となるのなら。この俺の手が、何処までやれるのか、試してみるのも悪くない。

シドは、ネロの図面を広げなおした。
(今夜は、徹夜だな)
この機械の腕もまた人々に平穏をもたらす物となる事を願いつつ、シドは工具を取り上げた。

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