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2015.06.20

【小説】猛牛は闇にありて(ラウバーン・アルディン)

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イシュガルド戦勝祝賀会の後日談。囚われたラウバーンは・・・

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祝賀会の悲劇から、どれ程の時が過ぎたのか。

幽閉された牢の窓は、天井近くに小さく穿たれている。そこから漏れ落ちる光がわずかに石畳を照らす。それのみがこの牢の灯のすべであった。昼と夜はあるが、それ以外に時を示すものはない。

硬い寝台に粗末な寝具があるのみの牢屋。

失った左腕の傷は固まったものの、時折疼く。ないはずの腕の痛みに、夜半に目が覚める時もある。その痛みは彼の心にも巣食っていた。栄光の日々、高貴なる人を守る自負、国を背負う責務、すべてが鍛え抜かれた我が腕に係っていると思っていた。今、その腕の片方は失われてしまった。幻の痛みのみを残して。

「いつか、必ずお助け致します」
密かに牢を訪れたピピンが力強く言った。

彼の養子と知れているピピンが不滅隊で少闘将の地位を失わずにいるのは、まだロロリトがすべての実権を握ったわけではない事を示していた。よそ者のクリスタルブレイブがのさばるのを、快く思わないウルダハの民もいるだろう。着せられた罪状に陰謀の匂いを感じ、彼に同情的な人間も少なくない。ロロリトの側近やイルベルト達の目を盗み、牢の警備の合間に彼に話しかけたり、差し入れをする兵士もいる。

彼らから得た情報で、今ではナナモ様の侍女がロロリトの手先であった事も、英雄が逃げのびた事も知った。ナナモ様の死がまだ公にされていない事も。
(もしや、ナナモ様は・・・)
彼はナナモ様の亡骸を見ていない。思えばイルベルトの「自分が暗殺した」という言葉も、自分を挑発する為のものであったように思える。

あの日、身を挺して逃がした冒険者の顔が脳裏をよぎった。

微かな希望が、塞ぎこんだ胸の底に灯る。彼は顔を上げた。天井近くの小さな窓から白い光が差し込んでいた。純なる光。どれほどに世界が汚れようとも、光はまだそこにある。

自分にまだ片腕が残っているように、すべての希望が潰えたわけではない。今は待つ時なのだ。やがてこの牢を出て、真実へと向かう旅が始まる時まで。

幻の痛みは消えた。今夜は久しぶりに夜半に目覚める事無く眠れそうだ。彼の唇に微かに笑みが浮かんだ。

光は、まだそこにある。

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