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2010.08.04

【小説】女神は暁に詠う(天蛇将誕生秘話)4

Rughadjeen4

パチパチとはぜる音がする。煤と煙が充満し、視界が遮られる。

(どこだ・・)

炎に赤く染まった建物の中でそこだけが白く見えた。先程の少女が倒れている。私は駆け寄り抱き起こした。少女は低く呻いた。生きている。梁が倒れて来た。私は咄嗟に自分の身体で少女をかばった。砕け散った梁の破片が腕に当たり、激痛が走った。だがそんな事を気にしている暇はない。建物が崩壊しかけている。一刻を争うのだ。少女を抱き上げ、私は来た道を引き返した。

子供とオートマトンを運んだ場所へ、私は戻った。子供は目を覚ましていた。私は少女の身体をそっと下ろし、壁に寄りかからせる様にした。子供は目を丸くして少女を見ている。私は安心させる為に子供に言った。

「心配ない、気を失っているだけだ」

少女が身じろぎした。そして激しく咳き込み、目を開けた。何処にいるのか解らないといった表情をしていた。傍らのオートマトンがひょこりと起き上がった。あるじの意識が回復したからであろう。少女は大きな目を見張り、私を見ていた。私はその顔を覗き込み、怖がらせぬ様に優しく言った。

「もう、安心だ。しっかりしろ」
「あなたが、わたくしを?」

私は頷いた。物腰と同じく品のある話し方だった。名家の令嬢らしき雰囲気があった。私とは無縁の世界の住人である事は、その言葉使いだけでも感じられたが、これから二度と逢う事はない少女でも、言っておかねばならぬ事があった。

「無謀な事をしたな、命を粗末にするな」
少女は私を見詰めたままであった。瞳の深さを私は眩しく感じた。
「だが、見上げた勇気だ」

少女は軽く微笑み、目をそらした。
そして側で心配そうに見ている子供に微笑みかけた。

「お願い、もう、行って。わたくしは大丈夫ですから」
「しかし・・」
「街では、あなたを必要としてる人が、まだまだいるはず」

思いがけない威厳を、私は少女から感じた。すぐにでも戻らねばならぬ事は解っていた。皇国軍の混乱は続いているだろう。だがそう遠くない場所から戦闘の物音が響いて来る。だが、この危険な場所に子供二人を置いていくわけにはいかなかった。


(つづく)

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