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2010.08.04

【小説】女神は暁に詠う(天蛇将誕生秘話)5

Rughadjeen5

「アフマウ様!!」
駆け寄って来た者がいた。不滅隊の制服を纏っている。

「ご、ご無事でございますか?どこか、お怪我は!?」
顔を隠しているが、その声には若さがあった。

感情を見せない事を常としている不滅隊の隊員が、慌てふためいている。それだけこの少女は高貴な出自を持つ者なのだろう。少女はおっとりと答えた。
「大丈夫よ」
「御身になにかあったら、どうするんですか? ご自重ください!!」
赤いオートマトンが踵でくるりと回り、機械の声で言った。
「りしゅふぃーハ しんぱいガ、すギルトおもウゾ」
こちらが少女の本音なのだろう。私は笑いを噛み殺した。

不滅隊の若者は、私に不審げなまなざしを投げかけた。
「アフマウ様、あの者は?」
「彼は、わたくしの為に・・」
不滅隊が付いているなら心配はなかろう。私は歩き出した。

「待って!」
少女が私を呼び止めた。
「その腕、怪我をしているの?」
私は立ち止まり、腕を見た。破れた布地の間から傷が見えた。裂傷に血が滲んでいる。先程梁が当たった箇所である。痛みはないわけではないが、これしきの怪我は戦場ではいちいち気にはしていられない。私は少女に言った。
「大した事はない」
オートマトンが甲高い声を上げた。
「いたいたシイゾ!ヤセがまんスルナ」

少女は立ち上がった。髪に結んでいたライラック色のリボンを抜き取ると、私の側に来た。そして裂けた袖の布を寄せ集める様にして傷口を覆い隠し、リボンを包帯代わりに巻きつけた。
「これでいいわ」
「すまない」
私は礼を言った。

少女は長身の私を見上げた。先程より明るい表情になっていた。恐怖が去ったのだろう。
「あ、あの・・お名前は?」
少女の頬のあたりに、はにかみが漂っていた。それを見た私の胸にも暖かい物が湧き上がった。
「ルガジーン、皇国軍の兵士です」
「ルガジーン・・」
少女は口の中で繰り返した。

今は緊急時だ。私は胸の中の感情を振り払うべく胸を張り、不滅隊の若者に呼びかけた。
「では、後はお願いする」
「承知した」
不滅隊の若者は頷いた。

彼女達に背を向け、私は戦いの中へと戻って行った。


(つづく)

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