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2010.08.04

【小説】女神は暁に詠う(天蛇将誕生秘話)2

Rughadjeen2_2

「たかが大隊長の戦術レベルの具申を聞いているほど、吾輩は暇ではないのだよ」

ミッサード閣下には、これ以上何を言っても無駄なのは解っていた。だがバルラーンラインが上層部が思う程万全でない事は、前線の兵士なら誰でも知っている事なのだ。兵士達が無駄死にをし、皇都が危機に晒されるのを、私は黙って見ている訳にはいかなかった。たとえ進言の結果、降格処分になったとしても。

これからの私は一兵卒に過ぎないが、それでも皇国の為に力を尽くす機会を失ったわけではない。この身が果てるまで剣をふるう気持ちに変わりはない。一人でも多く敵を倒す事で僅かでも人々の安寧が続くのであらば。

表に出ると白門が騒がしい。兵士達が殺気立っている。一人の兵士に私は声をかけた。

「おい、どうしたっ!?」
「あっ、ルガジーン大隊長どのっ! た、大変です!」

慌てる兵士をなだめ、状況の報告をさせた。大量のトロールが皇都を取り囲んでいるというのに、バルラーンの防衛軍はマムージャ蕃国軍に翻弄され釘付けにされたままだというのだ。

何という事だ、恐れていた事が起きてしまった。

「我が装甲大隊はこちらに集結しつつあります。大隊長どの、ご指示を!」
さすがは我が部下達よ、と誇りに思ったが、同時に現在の己の階級を思い出さずにはいられなかった。即答しない私を、彼は怪訝に思ったらしい。
「大隊長どの?」
私は正直に言った。
「すまない、私は先ほどミッサード閣下に大隊長を解任され、指揮権がないのだ」

兵士は落胆の色を見せたが、後方を指差して叫んだ。
「閣下なら、あそこに!」
何とミッサード閣下がおろおろとしながら走って行くではないか。
戦線とは反対の方角に。

「なぜ戦線へ向かわれない?まさか将兵や民を見捨てて逃げ出されるおつもりか!!」
兵士の声には怒りがあった。私は情けなかった。この様な時に守るべきは己の身ではなく、聖皇様と皇国の民の命であろうに。それが皇国軍の使命ではなかったのか。せめてその覚悟はおありだと思っていたのに。

「大隊長殿!」
兵士の期待に満ちたまなざしが私を見上げていた。この目を裏切る事などどうして出来ようか。私は腹を決めた。
「仕方ない、私が臨時で指揮をとろう」
「はい!」

伝令に走る彼の背中を見ながら、私は剣を抜いた。


(つづく)

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